老舗のデパートというのは、都市部ではまだ活気があるのだろうが、田舎では寂れていることが多い。
ちょくちょくニュースで赤字が発表されるし、スポンサー募集の話が出たりする。
再建問題がいつでも最重要課題だ。
経営者や経営元がしょっちゅう変わることもある。
田舎の需要はほとんどが、何でも安価で買えるショッピングセンターや大手チェーンのお店に偏ってしまっているのだ。
しかし、私は最近になってデパートを再評価したいと思う。
テナントが減るなど衰退の一途をたどり、建物内の空きスペースが目立つデパートでは、そのスペースを埋めるために催事や催しものを行っていることが多い。
そして意外にも面白い。
普段はネットカジノが趣味の私が、頻繁に出歩くようになってしまった。
フラリと催事物のコーナーに立ち寄ってみると、これが意外と楽しいのだ。
田舎の駅前で1時間も待たねば次の電車が来ない時の、暇つぶしをするにはもってこいなのである。
残念ながら、無線LANの環境も無いのでモバイルでインターネットを楽しむことも出来ないので、どうしてもアナログなものになってしまう。
これほどまでに都会と田舎には環境の差があるのだ。
自動車を持っていなければ、移動が大変だということで、クルマ離れなんてとんでもない。
コンビニの駐車場が無駄に広いということだけが自慢かな。
ビアガーデンのこと
ビアガーデン。
素敵な響きである。
夏になると行きたくなるビアガーデン。
金曜の夜に、開放的な空間でビールを自分で注いで来て呑む。
これ以上のものがあるだろうか。
下手なレジャースポットにいくよりよっぽど楽しいと思っている。
ただ、いかんせんビアガーデンの料理は値段に見合っていない。
往々にして焼肉的なものが多かろうと思うが、まあそこそこの肉に、ちょぴっとの野菜、サンチュ、枝豆等である。
野菜や肉の追加がまた高い。
べらぼうである。
別段美味しいというほどのものでもない。
ふむ、この値段でこれか、と初めて行ったときにも思ったものだ。
普通の焼肉屋でもこの値段をだせばもっと気の効いたものが食べられる。
とまあ文句を言ったところで仕方がない。
この開放感と、都会のデパートやらの屋上という、異質な空間で飲み食いをするという非日常感、夏がきたという醍醐味などなど、食べ物の質を差し引いてもなお余るものがあるのがビアガーデンである。
あの、頭上を渡してある怪しげな提灯も素敵だ。
盆踊りのときに町中に張り巡らされている商店街の提灯みたいの。
ちょっとしたノスタルジーである。
サラリーマンのお父さんたちが、日々の疲れを癒しているという姿も、胸にせまるものがある。
みんな色々抱えているんだなと、切ない気持ちで一杯になる。
そして同時に、人間の解放される瞬間を見ているようで、こちらも明るくなる。
なんて偉そうなことを言ったって、自分もサラリーで生活している以上は同じ側である。
従って、ビアガーデンから得る効果もお父さん達と全く同等なのである。
近々、解放されにちょっと出かけてみようか。