黒光りする立派な印鑑を購入した。
実印と銀行印、認印の三本セットで、これらを収納できる桐箱まで付いてきた。
これまではゴム印を使っていたが、大人になるとちゃんとした印鑑を持っていることが重要だということを聞いたため、買うに至った。
銀行や証券会社、ハウスメーカー、車屋さん、保険会社などで契約するときに必ず捺印するが、このときに取り出す印鑑で、人間性や支払い能力までも見られてしまうというのだ。
銀行のローン相談窓口に勤める友人の話だが、捺印するときに三文判や文具店でとりあえず買ったような印鑑の人と、恭しくケースに入れられている立派な印鑑の人では印象がまったく違う。
これから長いつきあいをしていく上で、支払いが遅れる人なんじゃないかとか、そんなところまで想像してしまうそうなのだ。
印鑑だけではなく、提出する書類を雑に扱う人も同様に、信頼できる人なのか疑いたくなるそう。
新しい印鑑を購入して、銀行に行く用事があったのだが、真新しい印鑑を使うので慎重に扱い、書類に間違いがないよう何度もチェックをしたら、ご丁寧にありがとうございます、と言って頂いた。
たかが印鑑、されど印鑑。
大人として本人の顔となるものだから、大事にしていきたい。
国の経済学
さきほど車で人を送ったあと自宅までの夜の帰り道、突然路上に飛び出してきた警察官に止められてしまった。
夜だったこともありいつも通りの検問かと。今晩は吐息に自信もあるんだぞとタカをくくっていたら右折禁止だった。
そして例によって悪者には腰を低くしてどこまでも親切にやさしく話かけてくるベテラン警察官。
寒い中すみませんすみませんと言いながら免許出して、こっち来て一緒に標識見て、と段取りの良いコト。
確かに見えます、はるか上空に右折禁止マークが。
天空空高く神々しさすら感じられる無敵の標識、それが右折禁止。しかもご丁寧に2か所も。
そう、右は茶碗を持つ方ではないのです。
完全に迂闊だった送った人間が後輩で、先輩風ビュンビュン吹かせて気を付けて帰れよ、
と気持ちよく送り出して出発してその距離10m。悪魔の第四コーナー10m。
冷え込みの厳しい中、交通反則告知書と銀行での納付書にすらすらと手際よく書かれていきます、我が個人情報。
いや、完全に200%僕の責任ですけども。その謙虚すぎる低姿勢がなんだかなぁ。
悪いことをした罪悪感とどこか納得のいかない脳ミソ。
その混乱に乗じて左人差し指で捺印させられてジエンド。
そして彼はさっさと所定の位置へ戻っていった。そう、あの誰からも見えない秘密の角度の隠れ家へ。
ほんの10分ほどの出来事でした。
国の決まりを守れなかった不肖者への制裁金は7,000円。
この金額設定はどこから来ているのか。警察官の書類作成、事務経費なのか。
つまり人件費込みの警察経費計算から来ているのか。
納得がいかないので経済学から学んでみようと思う。
いや、300%私が悪いんですけどもね。
どうもすみませんでした。